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2025/10/24
不動産事業
【負動産問題の正しい向き合い方】不動産相続と「相続土地国庫帰属制度」

不動産を相続したとき、「使い道がない土地」をそのまま抱え込んでしまうと、固定資産税・管理費用・維持リスクなどのコストが残ることがあります。このような負担土地(俗に“負動産”と呼ばれることもあります)を扱うひとつの選択肢として、令和5年4月27日より施行された相続土地国庫帰属制度があります。

ただし、この制度は誰でも使えるわけではなく、条件や制限も多いため、慎重に判断する必要があります。以下、制度の概要・制度利用のメリット・リスク・注意点を解説し、最終的には専門家に相談すべき理由もご説明します。

この記事でわかること

・相続土地国庫帰属制度について

・手続きの流れ

・制度が利用しづらいケース

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相続土地国庫帰属制度とは?
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不要な土地を国に“返せる”制度

この制度は、相続または遺贈で取得した土地を、一定の要件を満たす場合に国に帰属(譲渡)できる仕組みです。主な目的は、使う見込みがない土地の維持管理負担を相続人から切り離すこと、また、所有者不明の土地をなくすことです。

ただし、「すべての土地を無条件で受け取ってくれる」わけではなく、制度には多くの制約・審査があります。

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利用できる条件・対象となる土地の要件
チェックすべき内容例
申請資格
相続または遺贈で取得した土地であること。生前購入や贈与取得土地は対象にならない。
土地の状態
建物がないこと、抵当権・賃借権などの権利設定がないこと、境界が明確であること、土地所有者以外による使用が予定されていないこと、特定有害物質により汚染されていないことなど。
管理負担・整備性
坂地・崖地・残置物・地下埋設物がある土地など、管理や撤去に過大な労力や費用がかかる土地は対象外とされることがある。
費用負担
審査手数料や、承認後には10年分の土地管理費相当額を「負担金」として納付しなければならない。

これらの要件を満たさなければ、申請をしても不承認や却下となる可能性が高いため、注意が必要です。

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制度利用のメリットと限界
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メリット
固定資産税や維持管理の負担から解放される可能性がある
相続放棄のように全財産を放棄する必要がない(限定的に土地だけを処分できる)
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注意すべき限界とリスク
審査が厳しく、申請しても受理されないことが多い
申請件数に対し、承認率は低いものになっています。
負担金や整備コストがかなり高額になる場合がある
申請までの整備に時間と費用がかかる
境界確定・残置物撤去・土壌調査などはコストがかかります。
申請時に土地の状態や隣地との境界トラブルなどが原因で却下される可能性
制度開始後も、国が承認しない土地が多く、期待通りには進まないケースがある
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手続きの流れ
事前相談

法務局でチェックと制度説明を受けます。

申請書類の作成・提出

登記簿・公図・土地現況写真など必要資料を揃えます。

審査と現地調査

書面審査+必要に応じて実地調査を行います。

承認と通知

承認されれば負担金額が通知されます。

負担金納付と所有権移転

負担金を納付後、国が土地を引き取ります。

詳細な手続きや必要書類は、法務省の制度案内ページ に掲載されています。

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制度が利用しづらいケース
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却下になりやすい土地例
建物付きの土地
抵当権・賃借権などの権利関係が複雑な土地
境界不明瞭な土地、隣地との争いがある土地
管理・撤去に高コストを要する斜面・崖地
土地に残置物・地下埋設物などがある土地

これらはいずれ、制度適用外とされるケースが多いため、利用を検討する際には事前に確認しておく必要があります。

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最後に
結論

・相続土地国庫帰属制度は、条件を満たした場合に限り、相続・遺贈で取得した土地を国に譲渡できる制度です。

・ただし、審査基準が厳しいため、土地が条件を満たしているか事前にチェックすることが大事です。

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なぜ専門家に相談すべきか

この制度を使えば負動産を処分できる可能性がある一方で、審査基準や土地の状態によっては制度が使えないことも珍しくありません。
また、整備コスト・手続き負担・隣地との調整など、専門知識や経験がないと判断が難しい要素も多いため、土地の評価・売却可能性も含めてアドバイスができる不動産会社に相談することを強くお勧めします。 「制度が使えるかどうかの判断」「土地整備の可否」「申請代理」などを任せられるパートナーがいると、失敗リスクを大きく抑えられます。

相続土地国庫帰属制度に関するご相談がございましたら、本サイトの お問い合わせフォーム からお気軽にお問い合わせください。