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2025/12/12
不動産事業
影響を解説!経営・管理ビザの改正 外国人の不動産取得の抑制につながる?【2025年最新動向】
この記事でわかること

・大阪府を含む大都市圏における、海外居住者による不動産購入の状況

・経営・管理ビザと、不動産投資・民泊運営のつながり

・改正後の経営・管理ビザの要件と、その影響について

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背景 — 海外からの資金流入と都市部マンション市場の状況

近年、日本の大都市圏では、海外在住者や外国人の不動産購入が増加傾向にあります。2025年11月に報告された調査では、三大都市圏(東京・大阪・名古屋など)において、2018年1月から2025年6月までに登記された新築マンション約55万戸のうち、2025年上半期(1〜6月)における「海外居住者による取得割合」は、東京都の「都心6区」で 7.5% となったとの報告があります。

同調査によれば、大阪市を含む地域でも、三大都市圏のひとつとして「海外居住者の取得例」が確認されています(大阪市は、東京23区や名古屋市と並ぶ対象地域のひとつとして分類)。
このような「海外マネー」の流入と外国人による取得の増加は、地価やマンション価格の上昇、ならびに都心部における不動産需要のひとつの要因と見られてきました。一部には、「投資用」「賃貸/民泊目的」としての購入も含まれていたとされ、実需住宅だけでなく、収益物件としての側面も無視できなかったようです。

また、こうした流れのなかで、外国人でも日本で長期居住や事業運営ができるように設計された在留資格である「経営・管理ビザ」が、都市部不動産市場と一定の結びつきを持つ一因となってきました。

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経営・管理ビザとは — 従来の制度設計とその活用

「経営・管理ビザ」は、外国人が日本国内で会社を設立・経営または事業管理を行うための在留資格です。従来の要件では、資本金(または出資額)500万円以上、あるいは常勤従業員の雇用(代替条件)などが認められており、小規模な会社でも比較的容易に申請できる設計でした。

このような制度設計は、外国人起業家を誘致し、日本国内で新しいビジネスや雇用を生み出すという本来の趣旨に基づくものでした。
しかし一方で、「資本金500万円」「雇用義務なしor最低限」「学歴・経歴・言語能力の要件不在」「事業所が自宅兼用でも可能」など、参入のハードルは低く、ペーパーカンパニーや実体の乏しい法人による在留資格取得、さらには不動産購入・賃貸経営や民泊運営などへの転用──いわゆる“スキーム目的”の活用が指摘されてきました。
そのため、特に都市部の不動産市場において、こうした「実体の乏しい事業」を口実とした投資的な不動産取得が、構造のゆがみを生んでいる、との批判や懸念が高まっていました。

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2025年10月 — ビザ要件の大幅厳格化とその内容

こうした状況を受けて、2025年10月16日から、経営・管理ビザの許可基準が大幅に厳格化されました。
改正の主なポイントは以下の通りです。

従来の基準
新しい基準(2025年10月16日以降)
資本金・出資総額
500万円以上
3,000万円以上
常勤職員の雇用義務
なし/代替条件あり
常勤職員を1名以上雇用(資本金とは別要件で必須)
経営者の経歴・学歴
不問
経営・管理経験 3年以上 または 経営関連分野の修士相当以上の学歴
日本語能力
不問
申請者または常勤職員に「日本語能力 B2(JLPT N2相当)以上」
事業所の確保・実態
自宅兼用事務所も認められ得る
独立した事業所の確保が原則。自宅兼用は原則不可
事業計画の確認
内部審査
第三者専門家(公認会計士・税理士等)による確認義務
更新時の審査強化
実質緩やか
税金・社会保険納付状況、公租公課の履行など実態確認の徹底

政府は、こうした改正によって「安易なペーパーカンパニー」「名義貸し」「投機目的」の法人設立・在留資格取得、さらにはそれを通じた不動産投資や民泊運営などの“スキーム的利用”を抑制し、実態性のある企業経営・事業運営を促す狙いを明示しています。

なお、すでに経営・管理ビザを所有している人については、猶予期間が設けられており、2028年10月16日までは更新の際に新基準への適合見込みを示せば継続できる可能性があります。

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影響 — 大阪市を含む大都市圏の不動産市場へのインパクト

このビザ制度の厳格化が、今後、都市部の不動産市場、特に外国資本や外国人による物件取得・投資の動きに一定の抑制効果をもたらす可能性があります。以下がその論点です。

参入ハードルの上昇
資本金3,000万円、常勤雇用、実態ある事業所、日本語能力など、これまでのような「小規模」「名義借り」「間接的投資」といった手法が難しくなります。結果として、不動産投資を目的とした法人設立・ビザ取得の数は減少する可能性が高いです。
投機的取得・転売の抑制
“投資目的”“短期転売目的”の購入が、在留資格取得のハードルと事業実態の証明という意味で難しくなるため、都市部マンション価格の過熱に対する歯止めとなる可能性があります。
市場の「質重視」への転換
条件を満たす実態ある事業者による購入・賃貸・運営が残ることで、不動産の流通がより「実需」「安定運用」「長期保有」などに傾きやすくなります。これにより、不動産の質(管理、賃借人の安定性、地域との調和など)が問われる時代になります。
大阪市のような大都市での影響
大阪市も三大都市圏の一角であり、過去に海外居住者によるマンション取得データに含まれていた地域です。これまで中国などを含む外国人資本の参入があったとすれば、新制度はそうした流入の鈍化につながる可能性があります。

ただし、注意すべき点もあります。

“投資目的”“短期転売目的”の購入が、在留資格取得のハードルと事業実態の証明という意味で難しくなるため、都市部マンション価格の過熱に対する歯止めとなる可能性があります。
資本金要件や雇用要件などをクリアしている法人は引き続きビザ取得可能であり、「資金力ある投資家」「事業実態ある事業者」による取得や運営は残る見込みです。
また、個人での不動産購入(ビザを使わず現金で買う、または他の在留資格で購入する場合)については、今回のビザ厳格化は直接関係しません。
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現状の課題と論点 — バランスの取れた受け入れと監視

この制度改正およびその影響については、以下のようなバランスある視点で論じられるべきと考えられます。

透明性と実態確認の重要性
不動産の売買や在留資格の付与にあたって、真正な事業か、実体ある法人かをきちんと審査することは、投機的・名義貸し的な買い占めを防ぎ、住宅市場と地域社会の安定に寄与します。
外国人の適切な受け入れ
ただし、資金力や事業経験のある起業家・投資家をまるごと排除するのではなく、「質の高い経営」「事業性」「社会貢献」を基準に受け入れを継続することで、多様な人材や資本の流入を維持する余地を残す必要があります。
地域住民との調和
不動産の流動化、民泊・賃貸経営、外国人オーナーの増加などは、地域の住環境やコミュニティとの調整、条例・法令・生活ルールの遵守といった観点も重要です。単なる規制ではなく、受け入れ体制や住環境の整備が求められます。
データの充実と継続的モニタリング
現在の「海外居住者の取得割合」のデータは、国交省の調査で初めて明らかになったもので、国籍や目的別の詳細は明確ではありません。今後は、取得者の属性、用途(自宅・賃貸・転売など)、長期保有か短期転売かといった「質」の情報を集めることが重要であると考えられます。
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まとめ
結論

・経営・管理ビザの規制強化により、外国人による投機的な不動産購入は今後抑制される可能性があります。

・一方で、資金力や事業実態のある投資・経営は引き続き認められ、市場が「量より質」へ移行していくと考えられます。

・今後は、不動産市場の透明性向上と、地域社会との調和を重視した制度運用が重要となります。

2025年秋に施行された経営・管理ビザの厳格化は、日本、そして大阪市を含む大都市圏の不動産市場にとって、大きな分岐点といえるでしょう。これまで比較的参入しやすかった仕組みの見直しは、「量」より「質」を重視する方向への政策転換を意味しています。

その結果、短期的には外国人による投機的な購入や民泊目的の“スキーム的投資”は抑制される可能性が高く、都心部マンションの価格高騰や転売による過熱の一因が弱まることも期待されます。一方で、資金力と事業実態を伴う真摯な投資・経営は残り、むしろ流通の透明性や健全性が高まることで、不動産市場全体の「質の向上」「長期保有・安定運営」を促す契機にもなり得ます。

ただし、制度改革だけで課題がすべて解決するわけではありません。国籍や在留資格を問わず、誰が、どのような目的で不動産を取得するのか、そしてその後どのように運用・管理されるのか――透明性あるデータ収集と、住環境や地域コミュニティとの調和を前提とした受け入れ体制が不可欠です。

この意味で、今後は「規制による参入抑制」だけでなく、「制度設計の改善」「透明性の確保」「地域を含めた調整と共生」の三点を併せて考えることが重要だと考えられます。

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