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2025/12/19
民泊運営事業
中国からの民泊利用者減少と渡航自粛要請の背景
この記事でわかること

・中国政府による日本への渡航自粛要請の影響

・渡航自粛の要因となった政治的背景

・民泊業界がこの情勢を乗り越えるには、どのような対応が求められるか

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民泊市場を襲った突然のキャンセル

2025年11月、中国政府が自国民に日本への渡航自粛を呼びかける発表をした直後から、関西を中心に民泊やホテルで中国人客の大量キャンセルが相次ぎました。大阪・西成区で民泊を営む林伝竜さんは、利用客の約6割を中国人が占めており、発表後わずか1週間で約500部屋(約1,000人)の予約がキャンセルになり、収益が約1,000万円減ると試算しています。東京でも春節需要を見込んで満室になっていた民泊施設の予約が、渡航自粛の呼びかけから1週間で全て取り消されたとの報告があります。これらは民泊事業者が中国市場にいかに依存していたかを示す象徴的なエピソードです。

中国人観光客の減少は宿泊業に限った話ではありません。観光バス会社では運行予定だった大型バスが次々とキャンセルされ、損失額は数千万円規模に達しています。大阪府内のホテル約20社でも、中国人の宿泊予約の50〜70%が取り消されるなど、インバウンド消費の比率が高い関西経済に大きな影響が出ています。

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なぜ中国政府は突然「渡航自粛」を呼びかけたのか

中国政府の発表には直接の法的拘束力はありませんが、国有企業の従業員や公務員は指示に従わざるを得ないため、事実上の渡航制限として機能しました。中国の大手航空会社は日本行き航空券の手数料なしキャンセルを発表し、旅行会社は日本向け商品販売を一時停止しました。

この「渡航自粛公告」が出された背景には、高市早苗首相の台湾有事に関する発言がありました。2025年11月7日、高市首相は国会で「台湾有事は日本の存立危機事態になり得る」と答弁し、中国側はこれを「内政への干渉」と強く批判しました。11月14日、駐日中国大使は日本外務省高官に対して正式に抗議し、同日夜には中国政府が日本への渡航を控えるよう国民に呼びかける公告を発表しました。

公告では「日本の指導者による挑発的言動が中国公民の安全に重大なリスクをもたらしている」と主張し、旅行会社や国有企業に日本旅行の中止を通知するよう求めました。このような政治的緊張が直接的な引き金となって、民泊や観光業に連鎖的なキャンセルが広がったのです。

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コロナ後も続いた中国客の回復遅れ

民泊市場ではコロナ禍前から中国人観光客の存在感が大きく、2019年には訪日外国人の約3割を中国が占めていました。しかし、コロナ禍で中国の海外渡航は事実上ストップし、2023年に入っても回復は他国より遅れました。中国政府が海外団体旅行を再開し始めたのは2023年1月以降でしたが、日本は長らく対象国から外れ、ようやく8月に解禁されたばかりでした。それでも福島第一原発の処理水放出への反発などから反日感情が高まり、中国人宿泊者数の回復は鈍化したままです。

こうした経緯から、2025年の時点でも民泊や宿泊業は中国客の完全回復を待ち望んでいる状況でした。そこへ今回の渡航自粛要請が追い打ちをかけ、事業者の計画は大きく狂うことになりました。

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高市首相発言後の影響をどう見るべきか
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暫定的な影響と見られる理由
キャンセルの多くは団体旅行
報道では「旅行の一斉キャンセル」という見出しが踊りましたが、実際に中止になっているのは団体旅行が中心です。中国人旅行者の9割近くは個人旅行であり、個人客の予約キャンセルは限定的という声もあります。
観光業界の反応は比較的冷静
中国人観光客の比率が高い関西など一部地域では影響が大きいものの、首都圏や地方では韓国や欧米からの客足が増え、全体の落ち込みを補っています。東京・浅草では中国客が減少した一方で欧米客が増え、売り上げに大きな変化はないといった声も上がります。
過去の政治摩擦でも同様の措置があった
2012年の尖閣諸島国有化問題や2023年の福島処理水放出の際にも中国側が日本への渡航自粛を呼びかけた前例があります。しかしいずれも時間とともに緩和されており、今回も長期化するかは不透明です。
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構造的な問題も露呈
中国市場への依存度の高さ
関西のインバウンド消費のうち約35%を中国人客が占め、観光需要が中国に偏り過ぎると政治情勢ひとつで大打撃を受けるリスクが大きいことが改めて浮き彫りになりました。
キャンセル料の回収難
今回のキャンセルは「政府の要請」が理由のため、旅行会社は顧客からキャンセル料を取れず、バス会社やホテルなどに対しては自社で負担するケースが相次ぎました。
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情勢を乗り越えるためには
客層の多様化と市場分散
韓国・台湾・欧米など成長が見込まれる市場へのプロモーションを強化する。特に円安を背景に欧米からの旅行者が増えているため、個人旅行を誘致する企画が有効です。
宿泊商品や体験型サービスの開発
地域の魅力を体験できるプランや長期滞在向けサービスを準備し、国籍に依存しない持続的な需要をつくることが重要です。
政治リスクへの備え
キャンセルリスクを吸収するための保険活用や、変動費型の事業モデルへの転換、地域事業者同士のネットワーク構築など、平時から備えを強化する必要があります。
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「R西九条Nico」の対応
当社が運営するR西九条Nico 詳しくはこちら

中国政府による渡航自粛要請を受け、関西の民泊市場では中国人観光客のキャンセルが相次ぎましたが、MBネクストが運営する西九条の民泊施設では、こうした影響は限定的でした。むしろ予約状況は安定しており、時期によっては稼働率が上向く場面も見られています。

この背景には、中国人団体旅行への依存度がもともと低く、主な利用者層が国内客やは欧米(ヨーロッパ、オーストラリア、ジョージア...)などの個人旅行者、特に家族・グループ客で構成されていた点があります。政治的要因による急激な需要変動を受けにくい構造が、結果としてリスク耐性の高い運営につながりました。

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影響を受けなかった理由 ─ 先を見越した商品設計

西九条の民泊は、USJまで電車で1駅という立地を生かし、家族や複数人での滞在を前提にした一棟貸しの設計となっています。寝室数の多さや広いリビング、サウナやプロジェクターといった設備は、「宿泊そのものを楽しみたい」というニーズと相性が良く、価格競争や国籍依存に陥りにくい商品設計です。

加えてUSJだけでなく京都府、奈良県、兵庫県など関西の他観光地へのアクセスも良く、結果として中国客減少という逆風の中でも、安定した集客を実現しました。この事例は、民泊運営において特定国への依存を避け、明確なターゲットと体験価値を設計することの重要性を示しています。

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まとめ
結論

・中国政府による渡航自粛要請により、日本の民泊業界や観光業界は予約のキャンセルが相次いでいる状況です。

・その背景には、高市首相による台湾有事に関する発言がありました。中国政府はこの発言を強く批判し、日本への渡航自粛の呼びかけに繋がりました。

・影響は限定的で、いずれは緩和されていくとの見方もありますが、特定の国に依存しないビジネスモデルを構築することが必要になると予想されます。

今回の渡航自粛要請は、高市首相の台湾有事発言という政治的な出来事をきっかけに、中国政府が外交圧力の一環として自国民の旅行行動を規制したことに端を発しています。民泊をはじめとする観光関連業界にとっては痛手ですが、インバウンド市場自体は多様化が進んでいます。これを機に依存構造を見直し、持続的に選ばれる観光地づくりやサービス開発を進めていくことが求められます。