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2026/01/23
不動産事業
不動産契約の完全オンライン化へ ─ 内覧から署名まで“非対面時代”の新常識
法改正が生んだ完全オンライン契約の時代

従来の不動産取引では、宅地建物取引士が押印した書面を交付する必要があり、重要事項説明書や契約書は紙で手渡しするのが当たり前でした。しかし、2021年にデジタル社会形成法(デジタル改革関連法)が成立し、押印義務や書面交付義務が大幅に見直されました。

これに伴い宅建業法も改正され、重要事項説明書への宅建士の押印が不要となり、契約書や重要事項説明書(いわゆる35条書面・37条書面)の電子交付が認められました。2022年5月の改正宅建業法施行により、これらの書類の“完全電子化”が正式に解禁され、不動産業界はついに「オンライン完結の取引」が可能な時代に入りました。

電子化解禁前は社会実験として限定的な運用でしたが、現在は多くの書類がデジタル化でき、媒介契約書、レインズの登録証明書、35条書面、37条書面、賃貸借契約書、連帯保証契約などもオンラインで手続きできます。一方、公正証書が必要な契約はデジタル化が進行中で、今後の制度改正が期待されています。

オンライン化された不動産取引の流れ

オンラインでの不動産契約プロセスは、紙から電子へ置き換わっただけではなく、ユーザー体験としても合理化されています。

物件検索・オンライン相談

ポータルサイトや不動産会社の公式サイトで物件を探し、問い合わせはチャット・メール・ビデオ通話で完結。オンライン契約に対応しているかの確認も重要なポイントです。

オンライン内覧

現在は3種類の内覧方法が並存しています。

ライブ内見(Zoomなど)
担当者が現地からリアルタイムで案内。質問に即座に回答してもらえるメリットがあります。
VR・360°内覧
360°パノラマ画像や動画を自由に操作でき、家具配置シミュレーションやウォークスルーなど、没入型体験が可能です。担当者の立ち会いも不要。
スマートロックによる無人内覧
ワンタイムキーで自分だけが入室でき、都合の良い時間に現地を確認できます。
オンライン申込み・入居審査

WEBフォームから申込み、身分証などの必要書類もアップロード。審査結果はメールで通知。

IT重説(オンライン重要事項説明)

宅建士がZoom等で重要事項説明を行い、宅建士証の提示や説明内容の録画など、オンラインならではの手続きが整備されています。

電子契約・電子署名

契約内容の承諾後、契約書類は電子交付され、電子署名で締結。印紙税も不要となり、郵送や来店の手間が大幅に削減。電子証明書やタイムスタンプにより改ざん防止も担保されます。

支払いと鍵の受け渡し

初期費用はオンライン決済や振込。スマートロック導入物件ではデジタルキーの発行で来店不要に。

オンライン内覧ツールとテクノロジーの進化

2020年以降、オンライン内覧は不動産会社にとって必須のサービスとなりました。
2025年現在では、次のような高度な機能を備えたサービスが一般化しています。

360°パノラマ撮影
高画質VRモデルルーム
家具配置・動線シミュレーション
AIによる間取りの自動最適化提案
無人内覧の自動予約システム

これらにより、地方・海外ユーザーや、忙しく来店できない層にもリーチでき、不動産会社にとって「取りこぼさない営業体制」を作る重要インフラになっています。

メリットとユーザー意識の変化

オンライン契約・オンライン内覧の普及により、次のようなメリットが明確になっています。

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利用者のメリット
来店不要で時間と交通費を大幅に節約
遠方からの引越しにも対応しやすい
数時間で契約手続きが完了するケースもある
書類の電子保管で紛失リスクが減少

Z世代では8割以上が電子契約を好むという調査結果もあり、若年層を中心にオンライン完結型が「当たり前」の選択肢になりつつあります。

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不動産会社のメリット
印紙税の不要化によるコスト削減
郵送・製本作業の廃止で工数も大幅減
遠隔地の顧客にも対応できる
書類管理の効率化

電子契約を導入した企業では、業務効率と顧客満足度の両面で改善が見られています。

まとめ

オンライン契約にはいくつかの注意点もあります。

契約相手が紙契約を求める場合は合わせる必要がある
なりすまし防止などセキュリティ対策が必須
臭いや近隣環境など、現地でしか分からない情報はオンラインでは把握しづらい
設備入れ替えや改修のご提案

そのため、オンラインと現地訪問の「ハイブリッド型」運用が今後の標準になると見られています。

また、公正証書のデジタル化やAI×VRによる内覧自動化など、新しい技術も進行中。
不動産業界は、DXによって“対面が前提だった業務”から脱却し、非対面を軸にした新しいユーザー体験を構築するフェーズに入っています。